つれつれ日誌

宇宙やITベンチャー、経済情勢、国内外社会、歴史、1歳半の息子育児、自身の不眠症、等々について徒然書いていきます。

【睡眠障害】大麻とベルソムラ【マリファナ/ヘンプ】

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Insominaという映画

「Insomina」という映画ご存知ですか?「Insomina」は言うまでもなく「不眠症」のことですが、この映画は僕が好きなアル・パチーノと故ロビン・ウィリアムズが共演しており、監督も最近では「インターステラー」や「ダークナイト」、「インセプション」(どれも大好きですw)で有名な「クリストファー・ノーラン」です。

語りだすと逸れまくるのであらすじだけ引用しておきます。今回このInsominaを引き合いに出したのは特別な理由がある訳ではなく、単に挿絵を探しているときにこの映画を思い出しただけですw ダークですが展開に深みのある映画です。是非見てみてください!

アラスカ・ナイトミュート。いまの時期は24時間太陽が沈まないこの町で17歳の少女の変死体が発見された。翌日、ロス警察のウィル・ドーマーが相棒のハップとともに応援にやって来る。ウィルは今までの豊富な経験を駆使し、犯人をおびき出す方法を思いつく。思惑通り海辺の小屋に犯人が姿を現わす。しかし、深い霧に犯人を見失ったウィルは誤って相棒を射殺してしまう。自分が射殺した事実を地元警察に告白しそびれたウィルは白夜も手伝って不眠症に陥る。不眠が続いて3日目の早朝、ウィルのもとに少女殺しの犯人から電話がかかってくる…。

                                                             allcinema ONLINE (外部リンク)

引用:Yahoo映画 https://movies.yahoo.co.jp/movie/239336/story/

大麻草成分「CBD」

ところで、昨日Yahooニュースを見ていると以下の記事を見かけました。

ポイントは以下3点。

  • CBDとは別名カンナビジオール(産業用ヘンプマリファナ両方に含まれる成分)といい、大麻草成分の1つの天然物資で自然療法としても利用されている。マリファナのようにハイになるなどの精神活性作用はない。リラクゼーション作用を応用した美容品やアロマ、睡眠障害対策として人気を博している。
  • 昨年12月20日トランプ大統領「2018年農業法案」を施行し、THC*1成分0.3%以下の産業用ヘンプが規制植物指定から除外され、ほかの農作物と同じ扱い(!)になったため、今年1月からCBDが商品化され、全米でブーム。
  • しかし昨年12月、アメリカ食品医薬品局FDA)が、CBDの飲食物への添加は法律で認められているわけではないと発表。NY市保健局でも、CBDが含まれる飲食物の提供や販売を今年7月1日から禁ずると発表。(※顧客が自分でCBDを買って、飲食物に入れて摂取することは取り締まりの対象ではない。)

 

ちょうど、以下のように国母選手が大麻取締法違反で捕まったニュースが出ており、タイムリーです。 この大麻個人使用の是非について論じたいわけではなく、大麻睡眠障害に効果があるか」ということに関心があり、ちょっと調べてみた記録を書きます。

大麻の成分

上述の記事でも紹介されているように、大麻は以下の2種類に分けられており、どちらもリラクゼーション効果のある成分を保有しています。

  • 産業用ヘンプ(麻):CBD成分の含有率が20%以上で、THC成分が0.3%以
  • マリファナ:CBD成分の含有率が10%以上で、THC成分が20%以上

マリファナTHC(ハイになる成分)がたくさん含まれているんですね。もちろんマリファナを用いて短期的に「ハイ」になり、不安を解消するのは根本的な解決ではないし、そもそも日本では違法ですw

大麻の作用の中でも、抗不安効果について知りたいなと思います。僕の不眠症は「今日寝れなかったらどうしよう」というどうしようもない不安に起因しています。この不安を取り除く方法としてベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤でω2に作用することがありますが、やはりいつかは薬を卒業したいし他の方法で自然に不安を取り除く方法があれば試したい。

もちろんだからって大麻を試すわけではないですがw、最近の逮捕やCBD流行のニュースを見て、留学や海外出張をした際にマリファナがとても身近にあり、皆口を揃えて「リラックス出来る」と言っていたことを思い出し、その効果の有無をちょっと調べてみたいなと思いました。

医療大麻とその効用

このTHCやその他に含有される有効成分を用いた「医療大麻」というものがあります。以下のNatureにも記事掲載されているように、医療大麻には、抗不安作用だけでなく鎮痛作用、沈静作用、催眠作用、食欲増進作用、抗癌作用等、多岐にわたる作用がある模様。

www.nature.com

www.ncbi.nlm.nih.gov

また、Frank D'Ambrosio (2018年)の「Can Cannabis Be Used to Replace Addictive Pharmaceuticals?」という論文では、4276人医療大麻使用者から取った統計で、約7割が不安、不眠、痛みに用いており、74%は他の薬から大麻に置き換えたり、薬の量を減らすことができたという結果が紹介されています。これが本当であれば凄い効果です。また、医療大麻の使用目的の大多数が不安や不眠にあるということも興味深いですね(末期がん等の痛み止めとかが主な使用目的と思ってました。)

Wikipediaでは医療大麻が注目される理由として以下のようにまとめられていました。

 

  • 身体的害(副作用)が少なく、第一選択薬として望ましい。
  • 製造、栽培が容易かつ安価。
  • 法的規制の問題を除けば、本質的には製造・入手が容易かつ安価。
  • 多くの品種が存在しており、成分(THC、CBDなど)のバランスが多様。
  • 嗜好植物としての大麻には多くの品種が存在しており、薬効成分(THC、CBDなど)のバランスが多様なため、患者の個人差・病状の差に適合した品種を見つけることができる(一種のテーラーメイド医療と言える)。
  • 化学薬品ではない。
  • 既存の治療薬の効果が薄かったり、副作用が強い患者に対して別の選択肢となりうる。(代替医療
  • まだ有効な治療薬のない疾患、難病に対して効果が認められることがある。

 

医療大麻の副作用

上記のポイントにもあるように、大麻には殆ど副作用が認められないようです。 ただ、有名ですが摂取後は目が充血したりのどが渇くことがあるとのこと。

日本ではマリファナ覚醒剤のように依存性が強く、猛毒な麻薬というイメージがありますが、実際にはその依存性はかなり低く、カフェインと同等です。適正に使っていれば大麻の摂取自体が直接の原因となって死亡することはありません。

アメリカでの評価(悪効果もあるよ)

ここまで、「大麻やっぱり効果的じゃん」と思っていましたが、やはり反対意見等も沢山あります。日本では医療大麻の事例自体が少ないのでアメリカの文献や記事を読んでいましたが、以下の記事では大麻睡眠障害を治癒する訳ではないと論じています。

The use of medical marijuana does not improve sleep quality or reduce the severity of insomnia. Marijuana dose-dependently produces poor sleep quality. The reason that marijuana does not improve sleep quality is related to the fact that the endogenous cannabinoid neurotransmitter system in our brain is not directly involved in the onset or maintenance of normal sleep cycles. Therefore, marijuana cannot, and does not, produce normal sleep patterns.

Gary L. Wenk Ph.D.

人間に備わっているカンナビノイド*2神経伝達物質システムは直接的に睡眠サイクルに関与しているわけではないため、カンナビノイドに作用することで機能する医療大麻は、本質的に睡眠の質を向上させたり不眠症の程度を緩和することはできないとのこと。このGary先生は「寧ろ睡眠の質を落とす」と言われています。。

また、慢性的な睡眠障害を抱えている女性が初めてマリファナを試してみたときの体験が「Bisiness Insider」に掲載されていました。アメリカでは医療大麻を服用?する際には医師から認証カードのようなものを発行してもらう必要があるようですが、割と簡単なようで、$60/年ですぐゲットできるみたい。

In the middle of the night, I woke up because the bed was tilting. I felt dizzy lying down. I had extreme cotton mouth — there was not a drop of moisture between my lips. I was queasy. I felt just as bad when I got up as I did when I was lying down. There was nothing I could do to make the bad trip stop.

www.businessinsider.com

この女性は初めて医療大麻を摂取して寝た日、めまいと激烈なのどの渇きに襲われ、起きてても横になってても気分が優れなかったとのこと。結局医療大麻はすぐ止めて別の方法で睡眠障害の対策をしているようです。

他にもネットや論文を見ているとやはり賛否両論ありますね。個人差はあるんでしょうが、やはり万人に効くかどうかはまだ不透明。摂取方法としても煙草のように煙を吸わないといけないのでそこも1つのハードルになりそう。

もちろん医療大麻を個人的に日本で試すことはできないけど、もし合法的に流布することになれば一度試してみたいなと思いました。

ベルソムラについて

個人的には睡眠導入剤から早く卒業したいなと思っています。ベンゾジアゼピン系にしろ非ベンゾジアゼピン系にしろ、やはり依存性はあるので。

そういった相談をメンタルクリニックの先生にして、4年前くらいから「ベルソムラ」という新タイプの薬も飲んでみてます。

前回の記事で書きましたが、不安を取り除いてくれるベンゾジアゼピン系でも鎮静作用に特化した非ベンゾジアゼピン系でもない新型です。

このベルソムラはオレキシン受容体に作用する不眠症の治療薬です。スボレキサントという有効成分が入っているのですが、脳の視床下部から出る覚醒状態を維持する「オレキシン」という物質の働きを弱める(=オレキシン受容体への結合を邪魔する)ことが出来る薬です。

 

僕は先生とも相談して、既に何度も処方してもらっている薬で、使い方も分かっているので個人輸入でたまに入手してます。もちろん先生にも話はして、摂取量などは守った上での運用になりますが、通院+処方箋の時間コストを省けるのは正直助かります…。

この薬個人的には効いてくるまで1時間くらい掛かることもありタイミングを測るのがポイントです。

また、この薬は自然な眠気を強くするタイプ(=本来の睡眠力を高める、即効性もそこまで高くないので依存性が限りなく低い。)であるので、強引さがありません。そのため入眠作用に少し疎いので自分は体調に合わせて他の睡眠導入剤と使い分けをしています。

僕はまずはベンゾジアゼピン系から脱却しこのベルソムラで依存症を少しずつ解消していけたらと思ってます。(それでも入眠障害デパスとか飲んでしまうことありますが…苦笑)

 

今回はニュースから大麻睡眠導入剤のことを書いてみました。気になるニュースを取り上げ、自分なりの見解示して皆さんと意見交換出来るこのプラットフォームがあるのいいですね。

 

またそういう記事の書き方してみたいと思います。よろしくお願いします!

 

 

*1:別名テトラヒドロカンナビノール(産業用ヘンプマリファナ両方に含まれる成分)。マリファナ吸引で気持ちがハイになるのは、この成分の高濃度の影響。

*2:カンナビノイド(英語: Cannabinoid)は、アサ(大麻草)に含まれる化学物質の総称である。窒素を含まず、酸素と水素、炭素からなるので、アルカロイドには分類されない。
60種類を超える成分が大麻草特有のものとして分離されており、テトラヒドロカンナビノール (THC)、カンナビノール(英語版) (CBN)、カンナビクロメン(英語版) (CBC)、カンナビジオール (CBD)、カンナビエルソイン(ドイツ語版) (CBE)、カンナビゲロール(英語版) (CBG)、カンナビディバリン(英語版) (CBDV) などがある。1990年代には、体内で自然に生産されるエンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)が発見され研究が進展してきた。
特にTHC、CBN、CBDはカンナビノイドの三大主成分として知られる。なお、陶酔作用がある成分はこの中でもTHCのみとされるが、他のカンナビノイドとの含有比率によって効用には違いが生じる